HIFIMAN Svanar Wireless

イヤホンは断然有線派だった私は、先日購入した「DITA NavigatorにShanling M0Proを付けて、スマホでリモートコントロールすれば外出時も便利だな」と思い、購入前に実際の使用感を確認しようと秋のヘッドフォン祭2023に行きました。(この時はTWSを買うなんて夢にも思っていませんでした)

東京駅まで来てM0Proだけ試聴してすぐに帰るのも味気ないので、まず当日新製品発表された「PROJECT M」と「Svanar Wireless LE」を冷やかしで試聴してから本題のM0Proに行くつもりでした…。


ところが、Svanar Wireless LEを試聴した瞬間「私のなかで “パラダイムシフト” が起きてしまい」M0Proの件が完全に吹き飛んでしまいました笑。小型DAPと有線イヤホン持ち歩くのがアホらしくなるくらいイイ音なんですよ、Svanar Wireless LE。

改めてスペックを確認すると「HYMALAYA NANO 、フルバランス回路」。なるほど「他のTWSとは根本的にオーディオ性能が違う」のでこの桁違いの音質にも納得です。しかし、イヤホンの中にディスクリートR2R DACとバランスアンプを詰め込める技術力に驚きです。

Svanar Wireless LEはLDAC非対応。AACコーデックではありますが、それでも自然かつ高解像な音質のHYMALAYA DACと低音域の分離・躍動感などのバランスアンプの恩恵が十分感じられて、有線イヤホン+高音質ドングルDACレベルの音がしています。自分が今TWSイヤホンを試聴していることをまったく意識させません。


当初はiPhoneユーザーでLDACに縁のない私はLEでもいいかなと思っていましたが、LEの発売が待てなかったのと、「FiiO BTA30 ProでMacからLDAC送信ができる」こと、出番の減ったDAPとイヤホンを下取りに出したら手が出せる金額になったのもあり、Svanar WirelessをFiiO BTA30 Proと同時に購入した次第です。


室内でiMacとBTA30 Proの組み合わせでLDACコーデック(96kHz/24bit:990kbps)、High Fidelity(HIFIモード)

高音域は刺激的ではなく気持ち控えめですがクリスピーで質感が良いです。

中音域は非常に見通しが良く、実像感があり多階調でなめらかです。

低音域は分離と沈み込みが良く立体的。ベースやドラムが潰れずHIFIMAN特有のコシのある低音の質感が心地良いです。

やはりSvanar WirelessはLDACで本領発揮しますね。コーデック、DACやアンプのどこかがボトルネックになってる感じがありません。ヘッドフォン祭のAACでの試聴よりも全体にクリアで、トーンのニュアンス、解像感が良くなっています。高解像なんですがエッジが立ちすぎず生音に近い感じ。音場が広くとても自然で、ライブ音源は会場の広さ・響き・空気感がよく再現されています。

イヤホンの中に入るアンプとバッテリーサイズから想定される音圧・音質を凌駕しています。省電力・高出力設計が得意なHIFIMANならではですね。どの音域も過不足なくてサウンドのバランスがいい塩梅です。個人的にはこのサウンドバランスも購入の要因でとても気に入っています。

以外だったのが動画再生での音の延滞で、LDACは思っていたより音の延滞は少ないですね。YouTubeでMVを観ても気持ち遅れを感じるくらいで普通に観られます。VLCではオーディオトラックの同期ができるのですが、映像を-0.2秒遅らせるとぴったり合うのでそのくらいの延滞ですね。もっともこれはBTA30 Proでの話で、スマホや他のトランスミッターではもっと延滞があるかもしれませんが。

BTA30 Proには外部アンテナがついていますのでLDAC接続は安定してますね。室内でBTA30 ProとSvanar Wirelessの間にさえぎるものがなければ接続が切れることはありません。


屋外でiPhoneでAACコーデック(48kHz/16bit:256kbps)、High Fidelity(HIFIモード)

静かな環境でじっくり聴き比べるとAACはLDACより全体的にヌケが良くなく、余韻が少ない気はします。例えばLDACは背景が「漆黒の空間が広がっている」ようなのですが、AACでは背景が「黒で塗りつぶされている」ような感じとか。

しかし、HYMALAYA DACとバランスアンプのおかげで音質がかなり底上げされて、スペック値の差よりも実際の聴感上は僅差で「全然悪くない」ですね。BandcampやSoundCloudアプリのストリーミングでは問題ないですね。

屋外でのLDAC接続が問題になるSvanar Wirelessですが、AACなら電波状況が過酷であろう新宿駅周辺・商業施設で4時間弱の使用でも1回(1秒)途切れただけで、安定していて接続に問題を感じません。個人的には「騒がしい屋外ならAACでも音質は問題なし、良好な接続と十分トレードオフできる」と思います。

ただし、AACでも電車とすれ違ったり、エアコンの室外機のそばなどで再生が途切れることがあります。「大きなモーターなどの電気ノイズを発生させる機器」に近づくとダメみたいですね。


使い勝手とか

クイックリファレンスや取扱説明書が入ってません。HIFIMAN JAPANのWebサイトのカスタマーサポート(https://www.hifiman.jp/services)からPDFをダウンロードしてください。


High Fidelity(HiFiモード)→ANC ON(ノイズキャンセル)→Transparency(外音取り込み)の順でモードが切替ります。左耳3秒長押しでモードが変わりますので、慣れないとイヤホン装着時に意図しない長押しでモードが切り替わってしまいます。四角いタッチセンサー以外のイヤホン周辺をつまむようにして扱ってください。今何モードかわからなくなったら、ケースに戻してフタを閉めればリセットされHigh Fidelityに戻ります。


イヤホンのバッテリー残量はケースでは確認できません。iPhone接続時ならiPhoneのバッテリーウィジェットで10%刻みで表示されます。


イヤホンの満充電は2時間ですが、「2時間以上経ってもLEDが充電中の赤表示のまま」のことがあります。イヤホンケースのふたを閉めて再び開けると充電完了の緑に変わることがあります。


ケースのバッテリー残量はフタを開けた時のケース背面ヒンジの下のHIFIMANロゴマークの色で確認できます。

緑=残量80%以上

オレンジ=残量20%〜80%

赤=残量20%以下


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「同価格の有線イヤホンとドングルDACの組み合わせより割高」に感じるかもしれませんが、私は「ケーブルがない快適さ+外出時の身軽さ+HIFIMAN音質」を加味すれば価格の価値は十分あると思います。

私は外出時これ一択になりました。ここ3年くらいで、もっとも満足度の高いオーディオ製品で、思い切って購入して大正解でした。

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